野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

にかいより むしろ うかいの 幹事長

あの人の暴走が止まらない。

安倍総裁4選の可能性を示唆したかと思えば、

民主党幹部の細野を自派閥に入れた後、

今度は自民党と都議会で対立している小池都知事

再選を支持すると言っちゃった。

これについては細野が当選している静岡5区の

自民候補を抱える岸田派はカンカンだし、

都議会自民党もイラついている。

各所で軋轢を生む、自民党の二階幹事長。

 

ついこの間までは

「二階さんボケてんじゃないか…」と

一部で揶揄されていた80歳の老人は

今度は「暴走老人」「老害」と

対立相手から疎まれている。

一方で、9日には細野の地元選挙区を訪れて、

会合に参加。

細野の支援を要請したりと、実にキメが細かい。

 

窮鳥懐に入れば猟師も殺さず。

鳥を狩るのが仕事の猟師も

進退窮まった鳥が懐に入ってくれば

情けをかけて殺しはしない、という意味だ。

二階はこの手法で派閥を大きくしてきた。

県議会議員から国会議員、自民党幹事長と

根っからの党人派。

自民党を飛び出し、小沢一郎の側近となったが、

小渕政権で自由党の小沢が再び連立政権から

飛び出した時、自民党サイドに残って

その後、復党したという苦労人でもある。

 

二階の意図はハッキリしていて、

次の総裁選で自派閥を

キングメーカーにしたいのだろう。

苦労多い政治生活の中で会得したのは、

権力の中心にいなければ

政治家として生きていけないという信念。

二階派の中には、次の総裁選に出馬できそうな

有資格者が見当たらない。

イケメンで能力も高いからと言って

いきなり細野にはできないし、

桜田五輪担当大臣というわけにもいかないだろう。

なんとしても主流派に残らなければならない。

そのために手っ取り早いのは、

現在の自民党主流派の中の次期総裁候補を

潰すことだ。

しかもその人物は、どう見てもケンカ下手の

名門派閥・宏池会の岸田会長。

二階の言動は、岸田を次期総裁選レースから

外そうとする動きに見えて仕方ない。

 

もう一つ、二階が暴れることの効用がある。

二階と岸田の対立が先鋭化すると、

もう一人の総裁選候補者の影が薄くなる。

そう、石破だ。

二階は岸田を刺激しながら

実は強く強く石破をけん制しているのではないか、

こう考えられる。

だから、安倍のいる最大派閥・清和会が

岸田を支持する場合、

二階も岸田を支持するかもしれない。

二階にとって本当の敵はもちろん野党だが、

党内では石破なのではないか。

 

 

窮鳥懐に入れば猟師も殺さず…

岸田が本当に党総裁、総理になりたいなら、

恩讐の彼方に、自ら窮鳥となって、

二階の懐に入るくらいの芸当を

しなければならない。

そうすれば、猟師の二階は

総理になりたい窮鳥の岸田にどう対応するか。

政界戦国時代を生き抜いてきた二階なら、

岸田を鵜飼よろしく飼い慣らすことくらいは、

考えるだろう。

二階の政治の師・田中角栄

岸田の派閥が生んだ総理・大平正芳は、

育った背景がまったく違うのに

盟友だったのだから。