野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

元号と ともに刻む名 菅長官

元号菅義偉官房長官が発表することになった。

安倍総理がやりたかったのだろうが、

いまの自民党は前例主義を壊すことができない。

この場合の前例主義は、

官僚主義とほとんど同じ意味だと考えてよい。

 

 

かつて先輩から聞いた話だ。

「平成おじさん」「平成長官」と呼ばれた

小渕恵三・元総理は、1987年から89年まで

竹下内閣の官房長官を務め、

毎日のように記者会見をした。

しかし、会見が終わってしばらくすると

事務方から紙やスピーカーで

「先ほどの官房長官会見で、

△△の部分は誤りでした。正しくは〇〇です」と

頻繁に訂正が入る。

先輩たちは、仲間と

「これじゃ、ヘイセイ長官じゃなくて、

テイセイ長官だわな」と揶揄していたそうだ。

そして、当時は竹下登総理が

強力なリーダーシップを発揮し、

官房副長官には剛腕で鳴らす小沢一郎がいた。

「平成」という元号発表がなければ

官房長官としての小渕の名は、

殆どの人の記憶から消えていたかもしれない。

 

 

それに比べ、在職日数で一位の記録を更新中の菅は

名実ともに、敏腕長官の一人として

政治史に名を刻むのは間違いない。

 

菅は酒を飲まないことで知られている。

朝食から始めて一日に4件も5件も会食をハシゴし、

人の話に耳を傾けるそうだ。

しかも、話の内容をよく覚えている。

政治家だから当たり前と思うかもしれないが、

そんなことはない。

彼ら彼女らも人間だから、

酔って話したことなどはよく忘れている。

菅は酒を飲まずに話しているから

内容までよく覚えているのだろう。

 

また、メディアとの接し方で言うと、

菅の凄みはメディアの偉い人たちと

頻繁に会食を重ねるところにある。

元J通信のT氏は有名だが、

テレビ局の社長、会長ともよく会っている。

トップを捕まえておけば、

所詮サラリーマン記者の連中は

言うことを聞くだろうという算段で、

実際にそれはかなり成功している。

 

安倍政権の火種になるものはあらかじめ

できる限り潰すべく、

四方八方にニラミを利かせてきた菅官房長官

4月1日11時半。

脇を固める役者から、成田屋ばりの千両役者へ。

菅の、一世一代の大舞台の幕が上がる。