野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

果実偽装 認めてなおも 押し売りか

安倍総理による施政方針演説が行われた。

なおみフィーバーと嵐ロスの中で

注目度が低くなったのは残念だが、

平成最後の施政方針演説で

気づいたことをいくつか記す。


まずは、野党などによる的外れな批判について。


厚労省による勤労統計不正問題と

日韓関係についての言及が

極めて少なかったことが批判されている。

あたりまえだ。


  賃金が上がった上がったと自慢していた

  アベノミクスの統計がまったくデタラメだった、

  結局カネ持ちのカネが増えただけじゃないか、

  厚労省許せない!

  慰安婦・徴用工・レーザー照射と

  言いがかりばかりつけてくる、

  韓国許せない!


気持ちは分かる。だからといって、

演説で長く触れればいいというものではない。

勤労統計不正問題はまだ全容がわからないので、

いろいろ言いたくても言えない状態だ。

また、外交は政府の専権事項であり、

現在進行形の日韓関係について

ペラペラしゃべるのは得策ではない。

だから、これでいいのだ。


一方で気になったのは、

「待機児童の目標は必ず実現致します」のくだり。

待機児童ゼロ作戦を高らかにうたったのは、

2001年の小泉純一郎総理である。

途中に政権交代があったとはいえ、

あれから18年。

まだ同じことを言い続けている。

いつまで待てばいいのだ。

保育園を待つ待機児童が

ホーム入居を待つ待機老人になってしまう。

 

また、明治天皇の御製を引いていたが、

これについては共産党の志位委員長が

日露戦争の最中読んだ、

戦意高揚のために使われた歌だ」と

早速噛みついていた。

安倍さん…不用意なのか、

それとも自身の支持者向けリップサービスなのか。

まあ、恐らくは前者だろうか。

 

歴代総理はほとんどが

任期中の演説で中国の漢文を引用するのだが、

安倍さんは絶対に引用しない。

かつての演説では「知行合一」を

吉田松陰の言葉であるかのように話していた。

しかし、「知行合一」は

明の政治家であり軍事家である

王陽明の主張。

陽明学の元祖である。

その言葉を自分が発明したかのように言われては、

松陰先生もビックリ。

安倍さんは中国の言葉だと認めたくないのだろう。

きょうの施政方針の中で、

日中関係を新たな段階へと押し上げて参ります」

とは言っていたが、

具体策も何もない。

やはりどう見ても中国が嫌いなのであろうと

きょうの演説からしみじみ感じた。

 

アベノミクスの果実をめぐる不正を陳謝した口で、

成果を強調し、自画自賛する安倍さん。

もはや、押し売りですよ。