野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

ひらい(平井)たら 中は白いか ワニ大臣

漫画家・東海林さだおのエッセイに

「野菜株式会社」というのがある。

人事も結局は見た目で、

大根やカボチャは堂々としているという

理由だけで評価が上がり、

キュウリはいくら実力があっても

なよなよしていて昇進なんかさせられない・・・

こんな内容だったと記憶している。

一企業の中の話ならまだしも、

国家を運営する大臣が

見た目だけで判断されたのではかなわない。

 

平井卓也・デジタル担当大臣が省内の会議で

東京オリパラ向けアプリの事業費削減をめぐり、

請負先企業のNECについて

「脅しておいた方がよい」などと指示した問題を

朝日新聞が報じた。

続いて週刊文春が、この会議の録音の中で

平井自身と近い関係にあるベンチャー企業

参加を求める発言をしていたと報じている。

平井は「脅迫大臣」「恫喝大臣」などと

ネットで叩かれている。

しかし、私が聞いた真相は全く異なる。

 

そもそも、NECへの発注額は

この手のアプリにしてはかなり高かったそうだ。

平井は、内閣府の担当者とNEC

癒着していることにうすうす感づいた。

そこで、この省内会議に出席していた

件の担当者を間接的に叱責する目的で

NECを「脅しておいた方がいい」と

牽制したと言うのだ。

証拠のない、もしくは証拠が薄い状況で

直接本人を叱責することを控えたのだろう。

 

また、録音の中では「おまえの判断も悪い。

そんな仕事受けるな、元々」と、

平井が「おまえ」呼ばわりする人物が登場する。

この人物こそ、平井が癒着を疑っている担当者。

この人物は大学で教鞭をとっていたこともあり、

大学での研究にNECからも金が出ている。

その分を政府発注の価格に

上乗せしているのではないかと

平井は訝しんでいたのだ。

政府内では、今回の録音データを

ダウンロードした形跡についても調査している。

もし件の担当者がダウンロードしたとすれば…

平井の叱責への苛立ちと

自分の行動への後ろめたさから、

ネタをメディアに売った可能性が出てくる。

 

平井をよく知る人によれば、彼は

地位をかさに着て威張るようなタイプではなく、

どちらかというと人の好いボンボンだという。

麻生財務大臣のように口汚いところもなく、

脅すような言葉は聞いたこともないそうだ。

では、今回の録音騒ぎで

どうして非難の嵐を浴びているのか?

私はどうも、平井の見た目と

関係があるように思えてしかたがない。

平井の浅黒く精悍な顔立ちは、

ともすれば強面の政治家に見られやすい。

彼が温情政治家と言うつもりはさらさらないが、

これから出てくる調査結果をよく見て

事の真相を判断しなければならない。

 

孟子

「ことごとく書を信ずれば、

すなわち書無きにしかず」と遺した。

無批判にすべてを信じ込むようならば、

書物など読まないほうがよいという意味だ。

朝日新聞週刊文春が必ず正しいなどと、

ゆめゆめ思わぬことだ。

彼らは件の担当者の話も知っていて、

敢えて掲載していないのだから。