野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

かろうじて 百合は開くか これからも

7月1日、中国共産党創立百周年記念大会が

北京の天安門広場7万人を集めて挙行された。

習近平国家主席の演説は、

「外国のいかなる圧力も許さない」

中華民族の復興」など

ナショナリズム色の強いもので、

日本ではさんざんな評判だ。

しかし、当然良いことも言っている。

『以史為鑑』歴史を鑑(かがみ)とせよ、

お手本にしなさいと言う意味だ。

今回の都議選で、滅びるだろうと言われていた

都民ファーストの会

あにはからんや31議席も獲得したのを見て、

その言葉を思い出した。

まず、小池都知事の動向を中心に

今回都議選を振り返ろう。


都議選告示直前の6月22日、

小池が突然、過労による入院を発表。

東京都ばかりか永田町でも衝撃が走った。

ただ、永田町関係者で

小池の過労を信じる人は皆無に近かった。

小池は倒れる前、自民党の二階幹事長と

会談している。

実はこの席で、二階は小池に対し、

都民ファースト候補の応援演説をする場合、

自民党候補の演説もするよう求めた。

都議選の千代田選挙区を念頭に置いたものだ。

しかし、都ファの特別顧問を務める小池が

自民候補の街頭演説をするなど

できるはずもない。

つまりは『都ファの応援演説に立つな』という

事実上の通告だった。

一方、もし小池が約束を守ったならば、

都議選で自民党が第一党になった際、

自民が小池を今後支えるという見返りがある。

この事態に、さすがの小池も逡巡したであろう。

苦肉の策として過労で倒れるという

選択肢を選んだと、私は踏んでいる。

入院なら、街頭演説に立つ必要もない。

(なお、この件については6月26日に配信した

この動画の中で話している)


ところが。

投開票の1週間前の世論調査を見ると

自民の旗色は芳しくなく、

都ファが意外に議席を伸ばす可能性が出てきた。

だったら都ファの応援をしたい。

しかし、国政への唯一のパイプである

二階との約束を反故にもできない。

そこで小池は投開票前日の3日、

都ファ候補の元を回るが一言もしゃべらない】

という奇策に打って出たのだ。

過労から回復したばかりで声が出ないことを

言い訳にすれば演説しなくて済むし、

ギリギリの線で二階との約束は守れる。

そう踏んだ小池は、各候補の事務所を回った。

その姿に、戦う女性の姿を見た無垢な有権者

雪崩を打って都ファに投票したというのが、

今回選挙の顛末となる。


思えば、小池は4年前の都議選で

都ファを勝利に導いた後、

希望の党を結成して国政に挑んだものの、

自身の排除発言で勢いは大失速。

その後、希望の党は雲散霧消した。

2017年の総選挙では相変わらず自公が大勝し、

民主主義の主役である野党は

壊滅に近い状態に追い込まれた。

野党をズタズタにし、

民主主義と議会政治が絶望の淵に立っている

今の日本の状況を作ったのは、

まぎれもなく小池なのだ。

小池に期待する無知な国民も、

都ファに入れざるを得なかった無垢な都民も、

4年前から今回の選挙にかけての

裏のカラクリを知ると、

自分の一票がどのような意味を持つものだったか

愕然とするのではないだろうか。


歴史と言っても、

それほど昔のことを学ぶ必要はない。

ついここ10年、しかも1人の政治家を通しての

歴史を見るだけでも、

政治に騙される確率はずいぶん減るのだ。

 

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希望の党の街頭演説取材時、右手前が筆者