野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

悪名も 無名に勝る 政治家や

国会では、衆参両院で予算委員会が始まった。

全閣僚が出席して、

政府側に何を聞いてもOKとされている予算委員会

(この奇妙奇天烈さはまたいつの日か書きたい

は、国会論戦の花形だ。

各党は、第一級の役者この舞台に投入する。

たとえ観客である国民から見れば、

彼や彼女が大根役者であってもだ。

 

きのう、おとといの予算委員会では

立憲民主党長妻昭大串博志

国民民主党は代表の玉木雄一郎

自民党小泉進次郎らを質問者に立てた。

中でも、私が注目したのは、

実はトップバッターとして質問に立った

自民党今村雅弘・元復興大臣。

平成最後の年で、国会花形論戦の一番打者ですよ。

なんでこの人なのか、とても気になる・・・

ほとんどの人は関心ないかもしれないが、

私には気になる・・・

自民党はいったい何を考えているのか?

それとも何も考えていないのか?

私はこの人選に深遠なるものを感じるのだ。

 

今村は、1947年生まれの72歳。

東大卒業後、国鉄に入社した。

二階派

2005年の郵政民営化で造反して無所属となり、

興大臣時代には、記者会見で記者に向かって

「うるさい」と怒鳴り、

パーティー東日本大震災について

「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。

首都圏に近かったりすると、

莫大な、甚大な額になった」と

暴言・失言が続き、大臣を辞任した。

2009年、14年、17年の衆院選では

比例代表で当選している。

この経歴に、彼がトップバッターとなった理由が

隠されている。

 

第一.

自民党の国会運営の司令塔は幹事長であり、

二階幹事長は自派から先頭打者を選んだ。

質問の中では、

二階が提唱してきた国土強靭化計画について、

今村は存分に質問している。

つまり二階の政策のアピール。

 

第二.

郵政民営化で無所属となるなど造反癖があるので、

自民党の主張に沿うよう質問させて、

党から離れていく遠心力が働かないよう予防する。

 

第三.

興大臣時代にかわいそうな目にあったので、

みそぎの意味で表舞台で活躍してもらう。

もちろんかわいそうな、というのは

仲間うちから見たらという意味で、

一般国民はかわいそうだとは思っていない。

というよりほとんどの人はもう忘れているだろう。

 

第四.

これが最大の理由だろうが、

今村は、2009年の政権交代選挙では

選挙区で落選、比例復活で当選しており、

佐賀2区は、野党がなかなか手ごわい。

2017年の選挙で今村は、

区割り変更の余波を受けて比例単独で出馬したが、

佐賀2区からは、希望の党大串博志が出馬し

当選している。

あのポンコツ希望の党からの出馬で

大串は当選したのだ。

今村が次の選挙で佐賀2区から出馬するかは

不明だが、

佐賀2区で自民党を浸透させたいとの気持ちが

党内にはある。

 

これだけの理由がそろえば、

今村をトップバッターに据えない方がおかしい。

またしても、二階幹事長の力を

見せつけたかたちになった。

 

 

こうやって政治力学をみていくと、

「政策政策!」と連呼する評論家や記者が多いが、

実態は選挙目当て、

「数は力」の政局ありきの人選だということが

よくわかる。

そして、それは民主主義国である限り

間違ってはいない。

 

間違っているのは政策、政策と叫ぶばかりで

選挙や政局目当てで動く政治家が

間違っているかのように訴える人たちなのだ。

 

悪名も、無名に勝る。

目薬も 数うち当てる 二階かな

「二階さんはボケてる」

自民党二階俊博が幹事長に就任した直後から、

二階ボケ説は出回っていた。

それが流言飛語だったことを裏付けるニュースが

2つあった。

山梨県知事選と、

細野豪志環境大臣二階派入りだ。

 


山梨県知事選は、現職有利だと言われていたが、

曰く因縁のある二階派の新人・長崎幸太郎

逆転勝利を収めた。

長崎は自民党を離党していた時期もあり、

2014年と17年の衆院選では

無所属で山梨2区から出馬。

14年は当選したが、

17年には自民党推薦候補である堀内詔子に敗れ、

落選している。

二度の選挙とも二階は、長崎を公然と応援し、

17年の落選後は、自らが務める幹事長の

政策補佐という聞きなれない役職に

バッジのない長崎を任命した。

二階は昨年、妻を亡くした直後も

長崎の応援のため山梨入りして、

選挙への執念を見せつけた。

 

そして、細野。

二階派の象徴といえば、

今や失言王の桜田義孝 五輪担当相。

高学歴の政策通でイケメンがいないのは、

二階派の悩みの種だった。

希望の党で大失敗した政治センスは別としても、

二階にとって上記3要素を満たす細野は

願ったりかなったりの人材だった。

細野は、47歳。

選挙にめっぽう強く、これまで7回の選挙で

自民党候補を蹴散らしてきた。

今後20年間、政治家を続けるとして

野党でも与党でもない宙ぶらりんな立場に

不安を抱いたのだろう。

本来、大同団結しなければならない野党だが、

排除の論理が好きな人たちがいるため

細野が野党のどこかに戻れる公算は低い。

ずっと無所属でいるには、若すぎる。

なまじ選挙が強いために、国会内では

どうにも動けない立場になってしまった。

批判を受けるのは当然だが、

孟子の言う「仁愛」の視点で見ることも

ありな気がする。

 

 

長崎の知事当選と、細野の自民党入りで

二階は鼻高々だろう。

「政治は数だ」

田中角栄の薫陶を汲む最後の世代の二階。

いつわりボケ老人から目が離せない。

 

追記

昨夜この原稿の下書きを書いて、

今朝の朝日新聞を見たら、

極めて似通った表現の文章があった。

悩んだが、備忘録的ブログなので

敢えてアップする。

果実偽装 認めてなおも 押し売りか

安倍総理による施政方針演説が行われた。

なおみフィーバーと嵐ロスの中で

注目度が低くなったのは残念だが、

平成最後の施政方針演説で

気づいたことをいくつか記す。


まずは、野党などによる的外れな批判について。


厚労省による勤労統計不正問題と

日韓関係についての言及が

極めて少なかったことが批判されている。

あたりまえだ。


  賃金が上がった上がったと自慢していた

  アベノミクスの統計がまったくデタラメだった、

  結局カネ持ちのカネが増えただけじゃないか、

  厚労省許せない!

  慰安婦・徴用工・レーザー照射と

  言いがかりばかりつけてくる、

  韓国許せない!


気持ちは分かる。だからといって、

演説で長く触れればいいというものではない。

勤労統計不正問題はまだ全容がわからないので、

いろいろ言いたくても言えない状態だ。

また、外交は政府の専権事項であり、

現在進行形の日韓関係について

ペラペラしゃべるのは得策ではない。

だから、これでいいのだ。


一方で気になったのは、

「待機児童の目標は必ず実現致します」のくだり。

待機児童ゼロ作戦を高らかにうたったのは、

2001年の小泉純一郎総理である。

途中に政権交代があったとはいえ、

あれから18年。

まだ同じことを言い続けている。

いつまで待てばいいのだ。

保育園を待つ待機児童が

ホーム入居を待つ待機老人になってしまう。

 

また、明治天皇の御製を引いていたが、

これについては共産党の志位委員長が

日露戦争の最中読んだ、

戦意高揚のために使われた歌だ」と

早速噛みついていた。

安倍さん…不用意なのか、

それとも自身の支持者向けリップサービスなのか。

まあ、恐らくは前者だろうか。

 

歴代総理はほとんどが

任期中の演説で中国の漢文を引用するのだが、

安倍さんは絶対に引用しない。

かつての演説では「知行合一」を

吉田松陰の言葉であるかのように話していた。

しかし、「知行合一」は

明の政治家であり軍事家である

王陽明の主張。

陽明学の元祖である。

その言葉を自分が発明したかのように言われては、

松陰先生もビックリ。

安倍さんは中国の言葉だと認めたくないのだろう。

きょうの施政方針の中で、

日中関係を新たな段階へと押し上げて参ります」

とは言っていたが、

具体策も何もない。

やはりどう見ても中国が嫌いなのであろうと

きょうの演説からしみじみ感じた。

 

アベノミクスの果実をめぐる不正を陳謝した口で、

成果を強調し、自画自賛する安倍さん。

もはや、押し売りですよ。

 

潜水艦 再浮上なるか

『国民でいま、野党の政党名を全部言えるのは、

とても政治に関心がある人』

大島衆議院議長がインタビューで、そう答えたそうだ。

その通りだと私も思う。

今のように野党が乱立している状況では、

100年経っても政権なんて取れっこない。

 

政権を奪取するというのは、

自らが信じる政策を実現するため。

しかし、その政権を取るためには、

多数派を形成しなければならないと言うのが

古今東西の定理である。

多数派を形成することを「数合わせ」と言う。

だから、数合わせを批判する評論家やコメンテーターは、

政治のことが全くわかっていない、

政治の素人である。

 

人間と言うのは、2人いれば考え方が違う。

ましてや、違う政党の議員同士が

完全に政策を一致させることは

100年河清を待つが如きで、ありえない。

 

あす1月28日から通常国会が開会するのを前に、

国民民主党自由党が合流を決めたと言う。

殆どの政治記者や評論家は、

小沢一郎のことが嫌いだ。

その理由は後日記すとして、

嫌いな人たちの中でもかなり多くが認めるのは、

小沢がいないと政治は面白くないと言うことだ。

 

2012年に当時の野田総理衆議院を解散し、

安倍政権を生み出してくれた。

(野田さん、ありがとう!)

その時に小沢が没落して以来、

安倍一強で政治がつまらない、

もしくは緊張感がない。

もし国民民主党自由党が合流し

報道通りに小沢が幹事長になるとしたら、

好き嫌いは別として

与野党間に緊張感が生まれ、

政治が再び面白くなる事は間違いない。

 

少し前までは、

今年の統一地方選挙参議院選挙は

自公が多少は議席を減らすにしても、

圧勝するだろうと言う見通しだった。

しかし、これで少しは面白くなってきた。

 

そして、衆参ダブル選挙を

安倍総理が打てるかどうかと言う判断にも

大きな影響を与えるであろう。

 

小沢のやり口は、

政治的にしばらく死んだふりをして

相手が油断したところで政権をひっくり返すことから、

『潜水艦』と言われている。

その小沢も今年で77歳。

ポンコツ潜水艦になってしまったかどうか、

この参議院選挙で分かるだろう。

 

 

喜寿(きじゅ)も鳴かずば 撃たれまい

 

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孔子が編んだ『書経』。

国家安定の条件として、賢人は全て官吏に登用され、

野=民間に残っていない様を

野(や)に遺賢(いけん)無し】とした。

それが今はどうか。

自分を遺賢と言うつもりは全くないが、

国会周辺に長くいた身として思うことは尽きない。

そんな【野の意見】を記していく。