野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

もろともに 埋め立てらるる 民意かな

沖縄県民投票が開票され、

名護市辺野古の埋め立てに反対するという

県民の民意が示された。

ただ、安倍総理は一夜明けたけさ、記者団に

「これ以上、先送りできない」と述べ、

基地建設を進める考えを改めて示した。

県民の民意なんて知ったこっちゃないとの本音が

滲み出ている気もするが、

実は、近代国家にはこんな大原則がある。

【外交と国防は中央政府の専権事項】

そう、米軍基地の移設・建設は外交と国防の根幹。

紛れもなく中央政府の専権事項なのだ。

つまり、防衛大臣と総理大臣が決めるのが正しい。

沖縄県民に異を唱える権限はない。

今回の投票結果はそもそも無意味なのだ。

民主主義とは必ずしも「多数決」ではないことが、

残念ながら今回の県民投票から分かる。

 

 

沖縄の基地問題はご存知のように、紆余曲折ある。

95年に米軍兵士による少女暴行事件が起きて

米軍基地反対の運動が高まる中、

96年、橋本総理が米軍と普天間基地返還で合意。

翌97年には辺野古への移設計画が固まった。

そんな折、04年に米軍ヘリが

沖縄国際大学構内に墜落するという事故が発生。

これらを受けて、09年に民主党政権の鳩山総理は

普天間基地の移設先を「最低でも県外」と発言。

解決を模索した。

…しかし、結果は皆さんご承知の通り。

ウィキリークスによると、

鳩山さんの県外移設計画を阻んだのは、

外務官僚を中心とする霞が関勢力だとのこと。

米軍基地利権を貪る連中が、

米国内で鳩山政権を不安がる勢力と結んで

ダメージを与えようとしたということのようだ。

「外交と国防は中央政府の専権事項」なので、

中央政府が代わる = 政権交代が起きれば

沖縄の民意をくみ取ってもらえたはずが、

結局それもダメだった。

 

 

しかし、道はある。

それが「琉球独立」だ。

本土の人間にとっては

夢物語のように聞こえるかもしれないが、

沖縄では、デモの時などにしばしば

この「琉球独立」というプラカードが掲げられる。

これ以上、県民のフラストレーションがたまると、

本当にその動きが高まるかもしれない。

そして、独立とは

そのまま中国化するというシナリオになる可能性が

強いということも申し添えておく。

もともと琉球は中国の冊封国だったことを

忘れないほうがいい。

もちろん5年10年先のことではないだろうが、

中国の魔の手は着実に沖縄に迫っている。

 

 

今週はトランプvs金正恩ハノイ会談だ。

現在、金委員長は列車で中国国内を移動中。

今回は中国から航空機を貸してもらうことは

なかったようだ。

米朝首脳会談の三番目の主役として暗躍する中国、

尖閣を突破口にして太平洋進出を目論む中国。

尖閣の先にある沖縄を見逃すはずはないだろう。

 

君子は舟なり、人は水なり。

水は能く舟を載せ、また能く舟を覆す。

民意を埋め立て続ければ、

必ず痛烈なしっぺ返しに遭うだろう。