野にイケンあり〜ジャーナリスト武田一顕が詠む時政

政局や中国について【野の意見】を個人の備忘録として書き連ねる。 よろしくどうぞ。

枝だけが 伸びて荒れゆく 野の景色

統一地方選挙の投開票が行われ、

自民党が圧勝した。

当然だ。

野党がバラバラで勝てるわけがない。


『北海道知事選挙では野党共闘が実現したが、

オール野党推薦の石川知裕

勝てなかったじゃないか!』

そう考える方もいるかもしれない。

北海道の有権者はアホではない。

石川への推薦はかりそめのことで、

野党が本気で共闘していないことくらい

百も承知。

こういう場合、

野党が本当に団結していれば、

野党の党首がそろって街宣車の上に居並んで

順に演説するものだ。

石川サイドは、何とか野党の全党首に

並んでもらおうとしたが、

立憲民主党が難色を示したという。


より深刻なのは、11の知事選挙のうち

福井、島根、徳島、福岡の4県で

自民党内紛により保守分裂選となったにも関わらず、

野党は一人も知事当選者を出せなかったことだ。

当選者を出せないというより、

候補者を出せない不戦敗だった。

なお、大阪では知事と市長のW選が行われたが、

維新は安倍政権の補完勢力なので

野党としてカウントしない。


 

権力が分裂しているときは、

在野の勢力が時の政権を倒す最大のチャンス。

これは古今東西、歴史の要諦だ。

ただ、前提条件は、在野勢力がまとまること。

もともと弱いから、野党のくせに分裂すれば、

ますます弱くなる。


野党、特に第一党である

立憲民主党枝野幸男代表は、

選挙結果の惨憺たるありさまを見て、

改心するだろうか。

そもそも、惨憺たる結果という総括が

できるだろうか?


政党が違えば、政策は違う。

しかし、野党である限り、

どんなに大きな声で叫んでも

その政策は実現しない。

政権を奪うためには、

妥協しながらできるだけ大きな勢力を築き、

政権に対抗する力を蓄えるのだ。

Politics of Compromise

=「政治とは妥協である」

という言葉さえある。

立憲民主の政策に賛同するのであれば共に戦う!

なんて言ってたら、

立憲民主以外の政治家は引いてしまう。


安倍政権を見よ。

大嫌いな中国共産党政権とも握手し、

北朝鮮金正恩委員長には秋波さえ送っている。

靖国に参拝もしていない。

消費税率は一度上げたが、

その後改心して凍結したまま。

妥協と譲歩を重ねてきたが、

対立する野党がアホでまとまらないから、

いまだに高い支持率を誇っている。

 


諸葛孔明が最も敬愛した

中国春秋時代の大政治家、管仲は言った。

「取ろうとするならまず与えよ」


7月には参院選がある。

立憲民主党の枝野は、過半数を取れるだけの

選挙区に公認候補を立てられるのか。

単独候補と野党共闘候補を合わせれば

過半数以上だとかなんとか言って

胸を張ったとしても、有権者はバカじゃない。

本気で選挙協力していないなんてことは

すぐにわかる。

 

塚田一郎・前国土交通副大臣が、

安倍総理と麻生副大臣に忖度して

二人の地元を結ぶ橋の建設を進めたという、

真っ正直な発言をしてくれた。

彼は副大臣を辞任したが、

選挙では自民党が大勝。

忖度して予算が使われてもいいんだよ、という

国民の意思表示になった。

…そんなことはない!

と色をなして反論する人もいるかもしれないが、

選挙とはそういうものだ。

忖度には、まあ目をつぶろうというのが民意。

野党よりは忖度政治の方が

まだマシと思っている人が多いから、

この統一地方選の結果になる。

 

安倍政権の最大の製造元は野田佳彦前総理だが、

安倍「長期」政権の最大の立役者は、

今のところ枝野幸男だろう。

統一地方選でも、野党が団結しなければ

選挙に勝てない構図が改めて示された。

政権交代しないと長期政権は必ず腐敗する、

というのも歴史の教訓。

 

枝野が改心しなければ、

参院選の投開票日は

日本の議会政治、政党政治

葬送日になるかもしれない。